世界的にみても日本は安全な国と言われていますが、それは国民の皆さま一人一人に防犯意識や街の美化に対する意識の高さが理由のひとつとされています。新築住宅や外構エクステリアに関しても、防犯を意識したデザインや対策が様々な観点から考える事ができるのです。今回は、防犯対策としての外構エクステリアについてみていきましょう。この記事を参考に、今一度、ご自宅やお庭周りなどの防犯に意識を向けてみていただけましたら幸いです。
もくじ
オープン外構とクローズド外構
外構エクステリアには、オープン外構とクローズド外構と呼ばれるものがあります。外構計画をする際に、自分が何を重要視するか、また、その地域がどういった様子であるか、などにもよりますが、防犯を意識する上では参考にするべきポイントのひとつです。
クローズド外構
クローズド外構とは、門、フェンス、ブロック塀、生垣などで住宅の敷地を囲い、住宅と道路の境界線が明確にわかる外構のことを言います。このメリットとしては、外からお庭や住宅の様子が完全に視界から遮断される特性上、プライバシーがしっかり守られる点にあります。また、お子様やペットがいるご家庭では、道路に飛び出してしまうリスクが無く、安全面でもメリットが大きいです。その一方で、費用が少し高くなる傾向にあり、防犯面では、一度でも不審者が侵入した場合には、外から発見しにくいというデメリットも。防犯センサーなどを設置して対策を強化する必要があるのです。
オープン外構
オープン外構とは、先述したクローズド外構と対照的に、圧迫感がなく開けており、住宅までの見通しが開放的になっている外構を指します。一方で、不審者の侵入が外部からも分かるように見通しが良いオープン外構は、不審者からすると侵入しやすいというデメリットがあるものの、近所付き合いなどが活発な地域などでは、地域ぐるみの防犯対策としても効果的ということが言えるのです。どちらが良いかということは一概には言えませんが、お住まいのエリアやご近所との関係性なども充分に考慮することが大切になってきます。
不審者の侵入を防ぐフェンス

外構エクステリアでは、敷地を囲むフェンスの設置する方が増えてきています。フェンスは、プライバシーを保護する目隠しとしての役割のほかに、侵入者を防ぐ防犯の役割もあるのです。住宅のデザインとの整合性も考慮しつつ、充分な高さのフェンスを設置するなど防犯面にも適したフェンスを選ぶことも大切です。
駐車スペースにシャッターゲートの設置を検討する

駐車スペースでは、車の出し入れのしやすさはとても重要ではありますが、住宅あるエリアや面した道路などの環境も考慮して、シャッターゲートの設置を検討するのも防犯面のポイントのひとつといえます。敷地の境界線を示すだけでも充分な防犯対策と言えるのです。また、住宅があるエリアにもよりますが、カーポートを導入される場合に、サイドパネルを設置するのもプライバシー保護と防犯面の両方に有効と言えます。
住まいの裏手やサービスヤードにも防犯意識を持つ
オープン外構の住宅の場合、住宅の裏手やサービスヤードに外部から行き来ができるようになっていることが多い傾向が。また、そういった裏手などには、浴室やトイレが設置されていることが多いので、湿気が籠らないように日中に窓を開けておくこともあるのではないでしょうか。
そういった場合、裏手やサービスヤードに自由に出入りできないように扉を設置したり、目隠しのフェンスや樹木(生垣など)を設置したり、足音が分かるような砂利を設置するなどの工夫を施すと尚良いでしょう。外構を計画する際は裏手にも充分に防犯意識を向けることをご検討ください。
門柱や門扉に個人情報保護の工夫を
門柱や門扉に関しては、住宅とのデザイン性を充分考慮して設置を計画すると思いますが、ポストや宅配ボックスの導入を検討するのも防犯対策のひとつです。個人情報が詰まった手紙や郵便物を他人が手にしてしまえるのは好ましくありません。ポストには鍵などでロックできるモノを設置したり、宅配ボックスを導入することをぜひご検討ください。

インターフォン(ドアフォン)の防犯対策

玄関のドアフォンは、録画機能が付いているものを導入しましょう。現在では、画像認識機能がある商品や留守中の訪問者を記録録画できる機能がある商品も多く販売されています。お住まいのエリアのセキュリティーレベルを充分考量して、防犯機能レベルが高いドアフォンを選ぶと良いでしょう。
照明も防犯対策に有効

玄関や住宅の裏手、階段に埋め込む照明など、エクステリアではお洒落な照明のニーズが増えてきています。この照明も実は防犯面でも大きな役割を担っているのをご存じでしょうか。住宅のエリアや広さなどをよく考慮して、侵入者が隠れられるような暗がりを少しでも減らすために、センサーライトや常夜灯などを設置することも防犯対策としては有効な手段です。
住宅やお庭、駐車場などを整理整頓し清潔にしておく
住宅への侵入者は、必ず1階から侵入するとは限りません。そのことから、住宅の周りの例えば室外機のあたりなど、二階に登れるような足場になるモノはできるだけ置かないようにしておきましょう。三脚やガーデニング道具、バーベキュー道具など、足場に使えるような物が多い場合などは、物置を設置して片づけておいたり、洗濯物は外から見えない場所で干したり、サンルームを設置するなど対策をしておくことも重要です。
また、住宅やお庭、駐車場周りなどを頻繁に清掃して清潔に保っておくことも防犯対策としてとても有効な方法ですといえます。俗にいう「窓割れ理論」。
窓割れ理論

環境犯罪学という学問の中に「割れ窓理論」というものが存在します。これは、建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴となり、他の窓もまもなくすべて壊されてしまう傾向が高いという事実から、反対に「割れた窓をすぐに修理すれば、他の窓が割られる確率は低くなる」という説を唱えた理論。細かなところを省略してまとめると、「どんな軽微な犯罪も徹底的に取り締まることによって、凶悪犯罪を含めた犯罪全体を抑止することができる」というのが割れ窓理論の概要です。
90年代のアメリカ・ニューヨーク州で実証されており、「割れ窓理論」を利用して、落書きや公共物の破壊、違法駐車、無賃乗車、万引きや暴力事件などの軽微な犯罪を積極的に取り締まると同時に、割れた窓の修理や落書きの消去なども行い環境美化を進めたことにより、犯罪の発生件数が大幅に減少したという効果が得られました。
防犯を意識した暮らしを心がける

ここまで防犯性の高い外構プランを検討する重要性をお伝えしてきました。しかし、近年の犯罪はより巧妙化しており、不審者は日々の暮らし方についても観察しているといわれているのです。私たちは普段から防犯を意識する暮らしを心がけることが大切になってきているともいます。
洗濯物の干し方や車の有無、夜の室内照明の点灯等、日々の暮らしと行動パターンが分からないような工夫を考えてみることも良いでしょう。洗濯物干し場を外から見えない場所に設置する。室内物干し場を設ける。夜間は自動点灯の照明にする。お庭は足音が聞こえやすい砂利を採用するなどを検討してみるなど、細かくて面倒なことではありますが、より意識を高く持つことがなによりも大切なのです。
マイホームで素敵な暮らしができるよう、大切な家族と財産などが守れるように、防犯性の高い住まいと外構エクステリアを検討してみましょう。お家や敷地の特性や地域性などにより、防犯性能や必要性は異なりますので、ご家族の構成やライフスタイルに応じて、しっかりと考えていきましょう。